●管理監督者の役割
もっとも安全で効果的・効率的な解決策を選択しなければならない。一種の交通整理、あるいは医療等への橋渡しが期待されている。メンタルヘルス不調の相談に対して、管理監督者だけで対応することは危険であり、問題解決に利用可能な資源・人材を有効に活用する。
相談にのるうえでの留意点
・相談の内容を正確に把握するために、先入観を捨て中立性を保つ。
・自分の固有の価値観や人生観を相談者に押し付けない。
・相談者と一緒になって興奮したり、怒ったりしない。
管理監督者は、専門家の診断や治療につなげることに抵抗を感じる傾向がある。
抵抗の3つの理由
理由 |
必要な考え方 |
① 精神科への受診を勧めることや、精神疾患を疑うことに罪悪感がある。 |
勧めるのは本人のためである |
② 他に相談に行くように勧めることに抵抗を感じる(頼りない、冷たいと思われたくない)。 |
相談の目的は相談者の抱える問題を解決することにある。 |
③ 相談者が精神科への受診に強く反発したり、抵抗する。 |
本人のために受診を勧めているのに激しく反発した場合は、受診の必要性がさらに裏づけられたと考える。 |
●アドバイスの与え方
・精神医学の専門家ではない管理監督者が病気や治療に関して助言したことでトラブルになる場合もある。
・「薬に頼るのはよくない」「気持ちのもちようで何とかなる」「根性で頑張れ」などの助言は治療の妨げになる。
・安易に主治医を替えるような助言はしない。
●メンタルヘルス不調の兆候が認められる従業員
・精神科に受診させない場合、管理監督者や企業の安全配慮義務違反になりかねず、遅れることで本人や周囲の人を苦しめる。自殺の危険性も高まる。
・本人が自ら治療を望まなくても、メンタルヘルス不調と思われる理由で正常な労務が提供できていなければ、原則、治療につなげる。
・本人が受診理由を理解しないままでは、治療はうまくいかない。