従業員のストレス
厚生労働省が5年おきに行っている調査「労働者健康状況調査」によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがる」と回答した人の割合は、2007年の調査では、58.0%になっています。就業形態別の回答割合は、一般社員61.8%、契約社員56.2%、パートタイム40.3%です。
「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス」の原因は、男女の合計では、「職場の人間関係の問題」が38.4%で1位であり、ついで「仕事の質の問題」34.8%、「仕事の量の問題」30.6%となっています。ただし、男女別でみた場合の結果は異なります。
●「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス」の原因の回答(2007年調査)
男性⇒1位「仕事の質の問題」 女性⇒1位「職場の人間関係の問題」
2位「職場の人間関係の問題」 2位「仕事の質の問題」
3位「仕事の量の問題」 3位「仕事の量の問題」
●相談できる相手がいる割合
項目 |
男性 |
女性 |
特徴 |
相談できる相手がいる |
87.4% |
93.1% |
・女性が上回る |
相談する相手は「家族・友人」 |
1位 |
1位 |
・男女とも、同順位になっている。 |
相談する相手は「上司・同僚」 |
2位 |
2位 |
・男女とも、同順位になっている。 |
従業員の心の健康問題の現状
●ストレス過多の状態が続くと、心身の健康問題が生まれやすくなる
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2010年に実施した「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」では、56.7%の事業所で心の健康問題があると回答されている。
また、過去1年間に心の健康問題により連続1か月以上休職、または退職した労働者がいたと回答した事業所は25.8%になっています。
●五大疾病
・2011年に厚生労働省は職場のうつ病や高齢化に伴う認知症の増加により、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加え、「五大疾病」とする方針を打ち出した。
●1998年以降、自殺者数が急増している
警察庁の発表では、1998年に自殺者が急増し、1998年以降2011年まで、連続して3万人を超えています。
被雇用者、勤め人については、高値が続いており、2012年では7421人で全自殺者の26.6%を占めている。
●自殺の原因
・自殺はさまざまな原因からなる複雑な現象
⇒単一の原因だけで説明できない。
・自殺直前に精神健康面の不調や心の病がみられる例が多い。
●政府による対策
・2006年「自殺対策基本法」が制定
・2007年「自殺総合対策大綱」が策定
●職場全体への影響
・作業効率が低下する。
・長期にわたる休業が必要になることもある。
・周囲の負担が増え、チーム全体の成果が低減する。
また、ストレス対策を効果的に行うことで、職場の活性化や業務効率の向上にもつながります。
●「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
・2006年3月に、厚生労働省が公表
・具体的な取り組みとして、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのケアを掲げている。
●企業側の問題の側面
・民事訴訟において従業員の心の健康問題に対する企業の責任が追及される。
⇒企業側での防止が必要(リスクマネジメント)
●メンタルヘルス対策に取り組む企業が増加
・2004年「社会経済生産性本部」の調査
⇒管理監督者の活動に力を入れている企業では、精神面の不調者の増加への抑止効果がみられる。
・2007年「労働者健康状況調査」
⇒メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場は、33.6%になっている。
・2010年「労働政策研究・研修機構」の調査
⇒何らかのメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は50.4%